シャーロック・ホームズシリーズは今も多くの人に読まれています。多読教材としても出版されていて、気軽に英語で読むことができます。
シャーロック・ホームズの帰還
コナン・ドイルが執筆したホームズの短編集は5つあります。一番最初の短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」、次に「シャーロック・ホームズの思い出」そして今回の「シャーロック・ホームズの帰還」は3番目で1905年に出版されました。
13作品が収録されていますが、そのうち以下の4つの作品が今回のラダーシリーズに収められています。
- 「空き家の冒険」
- 「踊る人形」
- 「プライオリ学校」
- 「六つのナポレオン」
ラダーシリーズ レベル3とは
ラダーシリーズは巻末にワードリストがあり中学校レベル外の英単語の日本語訳(Level3以上)がついています。
The Return of Sherlock Holmes「シャーロック・ホームズの帰還」はLevel3です。ラダーシリーズでLevel3はIBCパブリッシングのホームページによるとTOEICのスコアでは500~600点、英検だと準2級が目安とされています。
総単語数は32,740語で他の多読教材と比較すると長めの一冊となっています。レベルにあった書き直しがされ収録されています。
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総単語数も多く、推理の描写もていねいに描かれています。
推理小説をじっくり読みたい人におすすめです。
登場人物とあらすじ
The Adventure of the Empty House
Ronald Adair / 貴族の息子。オーストラリアから帰国。
Professor Moriaty / Holmesの宿敵
Lestrade / ロンドン警視庁の警察官
Ronald Adairが自室で亡くなっているのが家族によって発見されます。頭を撃たれたのは明白ですが誰も物音を聞いてはいませんでした。そして部屋は内側から鍵がかけられ、3階にある窓からの逃亡は難しくまた侵入した形跡もありませんでした。
多くの人に好かれ、敵もいない青年にいったい何がおこったのか。そして犯人は何者なのでしょうか。
ロンドンではこの事件が話題になるなか、Dr WatsonはHolmesとひさしぶりの再会をはたしていました。そして2人は危険をともなう空家の冒険へと出かけていきます。
再会の場面は感動的!Holmesはいたずら心からDr Watsonが気絶するほどびっくりさせちゃいます。
The Adventure of the Dancing Men
Hilton Cubitt / 依頼人。
Elsie / 依頼人と結婚したアメリカ人の女性。
Inspector Martin / Norwichの警部
Holmesは依頼人であるHilton Cubittから奇妙な手紙を受け取ります。そこには子供の落書きのような絵が描かれていました。HolmesとDr Watsonのもとに到着したCubittは自身におきた出来事を話し始めます。
Cubittは1年前にアメリカ人女性であるElsieと結婚し郊外で幸せに暮らしていました。しかし1カ月前にElsieがアメリカから1通の手紙を受け取ると一転します。Elsieは恐怖の表情をうかべ、さらには庭に踊る人を描いたような落書きを見ると気絶するほどのショックを受けてしまいました。Holmesに送ったものはそれを描きうつしたものでした。
Elsieのアメリカ時代に関係がありそうですが、過去のことは一切聞かないと結婚するときに約束したCubittはHolmesに助けを求めます。
この落書きは何をあらわし、Elsieが恐れているものとはいったいなんなのでしょうか。
ちょっとした出来事が大事件に発展していきます。Holmesの全シリーズのなかでも人気のある作品のひとつです。
The Adventure of the Priory School
Dr. Huxtable / 依頼人。名門の寄宿学校の校長
Lord Saltire / 失踪した10歳の少年
Duke of Holdernesse / 少年の父親。公爵。
James Wilder / 公爵の秘書
Heidegger / 少年とともに消えたドイツ人教師
HolmesとDr Watsonのいるベーカー街の部屋に入るなりDr. Huxtableは疲労と空腹で倒れこみました。Dr. Huxtableは名だたる名家の子息を預かるPriory Schoolの校長をしていました。そんな彼を追い込んだのはある一人の生徒Lord Saltireの失踪でした。
Lord Saltireはある夜こつぜんと姿を消します。3階にある自室から壁ぞいに生えているツタを使い脱出したようでした。またドイツ人教師のHeideggerも自身の所有する自転車とともにいなくなっていました。
多忙なHolmesも依頼を引き受け、Dr WatsonとPriory Schoolのある北イングランドまで調査に出向きます。はたして少年は無事なのでしょうか。関係者への聞き込み、そして周辺の丹念な調査で少年の行方を追います。
作中の地図をもとにHolmesと一緒に推理していきます。4作品の中で1番長く最難関でした。
The Adventure of the Six Napoleons
Lestrade / ロンドン警視庁の警察官
Morse Hudson / 画廊のオーナー。ナポレオンの胸像を販売していた。
Dr. Barnicott / 開業医。ナポレオンの胸像の所有者。
Horace Harker / 新聞記者。 ナポレオンの胸像の所有者。
ロンドン警視庁のLestradeがHolmesのもとを訪れ、助言を求めることはめずらしいことではありませんでした。ある夜、話しづらそうにしているLestradeをHolmesはすかさず見抜き、話すようにうながします。
Lestradeはロンドンで起きている不思議な事件について話し始めます。最初の事件は4日前でした。Morse Hudsonの経営する店で売られていたナポレオンの胸像が何者かによって粉々に壊されてしまいます。そして昨晩、第二の事件が起こります。
開業医であるDr. Barnicottはナポレオン好きで、彼の家はナポレオン関連の本、絵画などであふれていました。Morse Hudsonの店で2つのナポレオンの胸像を購入し一つは自宅に飾り、もう一つは少し離れた医院に置いていました。その2つの胸像が何者かによってまたしても粉々に破壊されていました。
その後もさらなる事件が続きますが、いったい犯人の目的はなんなのでしょうか。Holmesが鋭い推理が思わぬ結末を導きます。
クライマックスはあっとおどろく、あざやかな推理を披露。ぜひあきらめず最後まで読んでみてください。
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シャーロック・ホームズの冒険との比較
前回は同じラダーシリーズのThe Adventures of Sherlock Holmes「シャーロック・ホームズの冒険」を読みました。レベルもレベル3と同じでした。
「シャーロック・ホームズの冒険」は5作品収録され、総単語数は20,350語です。いくつかのシーンがカットされ短くまとめられているという印象でした。一方今回の「シャーロック・ホームズの帰還」は4作品で総単語数は32,740語です。1作品少ないのにもかかわらず総単語数は多くなっています。
1つの作品が長いのでHolmesの推理もていねいに描かれています。速く読むことを意識つつ読み進めていくと内容を理解するのに苦労するところがいくつかありました。
例えば“The Adventure of the Dancing Men”に関しては依頼人宅で状況を推理する場面、 “The Adventure of the Priory School”では少年がどの方向に向かったのか、現地の地形をもとに推理する場面は「シャーロック・ホームズの冒険」にはない難しさを個人的には感じました。
同じレベルの作品とくらべると読み終わるのに苦労した一冊でした。
読みごたえのある1冊
この「シャーロック・ホームズの帰還」は総単語数も多く読みごたえのある作品になっています。自信にない人は、まずは先ほどあげた同じラダーシリーズの「シャーロック・ホームズの冒険
逆に本格的にがっつり読みたい場合はこちらの「シャーロック・ホームズの帰還