今回はラダーシリーズのFrom the Files of Sherlock Holmes シャーロック・ホームズ傑作短編集[改訂版]を読んでいきます。
シャーロック・ホームズシリーズのそれぞれ違う短編集のなかから選ばれた3つの作品が収録されています。
- “The Reigate Puzzle”「ライゲートの謎」
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“The Memoirs of Sherlock Holmes” 「シャーロック・ホームズの思い出」より
- “The Adventure of the Devil’s Foot”「悪魔の足」
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“His Last Bow”「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」より
- “The Adventure of the Golden Glasses”「金縁の鼻眼鏡」
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“The Return of Sherlock Holmes”「シャーロック・ホームズの帰還」より
最初の2作品はHolmesとDr. Watsonが静養に訪れた先での事件となります。ベーカー街のHolmesのもとに依頼人が訪れて物語が始まるという展開が多いので、少し変わったシチュエーションの作品です。
ラダーシリーズ Level3
今回の作品もラダーシリーズのLevel3になります。IBCパブリッシングのホームページによるとLevel3はTOEICのスコアでは500~600点、英検だと準2級が目安とされています。
使用語彙は中学校で学習する単語 約1000語+使用頻度の高い単語 約600語です。総単語数は20,580語になります。
ラダーシリーズは巻末にワードリストがあり中学校レベル外の英単語の日本語訳(Level3以上)がのっているので、多読教材に抵抗がある人でも手軽に読むことができます。
ゆくゆくは原書で読んでみたいという人もまずは小手調べで多読教材からスタートしてみてはいかがでしょうか。
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登場人物とあらすじ
The Reigate Puzzle
Colonel Hayter / Dr. Watsonの旧友の大佐
Mr. Cunningham / Reigateの大地主
Alec / Cunninghamの息子
William Kirwan / Cunninghamの御者
Mr. Acton / Reigateの大地主
Inspector Forrester / 警部
Dr. Watsonは多忙により体調をくずしたHolmesとともにロンドンを離れ、ReigateにあるHayter大佐の屋敷に静養のため滞在することになりました。
2人が着いた日の深夜、地元の地主であるCunninghamに雇われていた御者のWilliamが撃たれてなくなってしまうという事件が起こります。
Dr. WatsonはHolmesを田舎でゆっくりさせるつもりでしたが、Holmesが滞在していることを聞きつけた警部が助言を求め屋敷にやってきてしまいます。
事件に協力することになったHolmesはWilliamが握りしめていたメモの切れ端、そして目撃者の証言をもとに推理していきます。
事件にのめりこむHolmesのふるまいにちょっと変だけど大丈夫?と心配する警部と慣れっこのDr. Watsonとのやりとりにも注目です。
ワンポイント
Holmesは捜査中も気を失い倒れてしまったり、犯行時刻を間違えて記入したりとまだまだ本調子ではないようにみえますが実際は?
ひとつひとつ状況を理解しながら読み進めるとより作品を楽しめます。
The Adventure of the Devil’s Foot
Mr. Roundhay / 牧師
Mortimer Tregennis / 牧師館の下宿人
Dr. Leon Sterndale / 探検家
医者に静養をすすめられたHolmesはDr. Watsonとともにイギリス南西部に位置するコーンウォールのコテージに滞在します。近くの村の牧師であるMr. Roundhayは親切で地元の歴史にも詳しく2人は打ち解けます。
ある朝、Mr. Roundhayと下宿人であるMortimer Tregennisが「信じられないことが起きた」とHolmesとDr. Watsonのいるコテージにやってきます。
Mortimer Tregennisの兄弟3人は近くの屋敷に暮らしていました。その3人が椅子にすわったまま1人はなくなり、あとの2人は正気を失い錯乱状態で発見されたのです。
この奇怪な事件の真相をHolmesは解明することができるのでしょうか。
事件を解決するためならなんでもしてしまうHolmesは恐ろしい実験をおこないます。
ワンポイント
Holmesも自身が解決した中で“strangest”と表現するこの事件はイングランドのコーンウォールでおこります。荒れた海に荒涼とした大地、そして古代遺跡が残るミステリアスなこの地は奇怪な事件の舞台にぴったりです。
The Adventure of the Golden Glasses
Stanley Hopkins / 警部
Professor Coram / 屋敷の主。教授
Willoughby Smith / 秘書
Mrs. Marker / 家政婦
Susan Tarlton / メイド
嵐の夜に訪れたのは警部のStanley Hopkinsでした。Hopkinsは現場で捜査をおこなったものの真相がまったくつかめずHolmesのもとにやってきました。
事件は郊外に暮らすCoram教授の秘書であるWilloughby Smithという青年がナイフで刺されなくなったというものでした。
家政婦のMrs. MarkerとメイドのSusan Tarltonも人柄もよく教授のもとで長く仕えていたので疑わしいところはありませんでした。また青年は恨みをかうような人物ではなく、犯人の目星がつきません。
青年が最後に残したことば、“it was she”とは何を意味するのでしょうか。また青年が手にしていた犯人のものと思われる金縁めがねからHolmesは推理を展開します。
ラストの展開は見事です!ぜひ最後まで読み切りましょう。
ワンポイント
ベーカー街にいながらにしてめがねの持ち主の特徴をズバズバいい当てるHolmesはさすがです。
翌日現場へと向かいますが、どのような発見があったのでしょうか。警察が見過ごしたものとは?
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シャーロック・ホームズ傑作短編集【改訂版】
一緒に推理を楽しめる1冊
メモの切れ端や、家の見取り図をもとに一緒に推理できるようになっています。推理を楽しみたい人にはおすすめの1冊です。
前回読んだ同じラダーシリーズの「シャーロック・ホームズの帰還」と比較すると、今回もレベル3でしたが読みやすく感じました。
「シャーロック・ホームズの帰還」の総単語数は4作品で32,740語、今回の「シャーロック・ホームズ傑作短編集」の総単語数は3作品で20,580語でした。やはり1作品がそれぞれ短かくまとめられているので理解しやすかったのだと思います。
また同じラダーシリーズのレベル3の「シャーロック・ホームズの冒険」は5作品で総単語数は20,350語でした。
今回の「シャーロック・ホームズ傑作短編集」と総単語数はほぼ変わりませんが、5作品収録されているためいくつかのシーンはカットされ、コンパクトにまとめられていていました。
ラダーシリーズのレベル3とレベルはすべて同じですが、1作品が短くまとめられた「シャーロック・ホームズの冒険」がやはり読みやすく、1作品が長めの「シャーロック・ホームズの帰還」は読み終わるのに苦労しました。
そして今回の「シャーロック・ホームズ傑作短編集」はその中間でバランスがとれた多読教材だなという印象の1冊でした。